ビートたけしの面白さについての思い出:先日の「陛下即位三十年式典」での名祝辞に寄せて。

面白くて頭がよくて、奇跡を引き寄せる天然人の会話

「ビートたけし」が好きです。先日の陛下即位三十年式典での祝辞で株が爆上がりしたたけしさんですが、私は前から たけしさんの「えらい人達と絡んだ時に奇跡を起こす」力みたいなものをすごいと思っていて、今回も「またやってくれたな」という感じです。

↑は、10年位前のBSでのTV番組「たけし★アートビート」という、ビートたけし冠番組での一幕。 これは世界中の「アーティスト」たち(ヘンテコ含む)を、ビートたけしと東京藝術大学学長の宮田さん+ゲストで、解説とツッコミを入れつつ紹介するという番組でした。

芸術知識の裏づけを宮田さんとゲストが、たけしさんが突っ込みをいれていく番組構成なんですが、これがまた、「頭が良くて面白い人たちって、こういう会話してるんだろうな」的な面白さがあって大好きでした。 狙って上手いことを言うだけでなく、素で本人の引き出しの数の多さと大きさをうかがわせてくれる感じが楽しかったですね。

よく「薫陶」といって、すごい人には傍にいるだけで深い知見を得られる…なんてコトを言いますが、もし、こういう会話を常に横で聞いて仕事とかできたら、そりゃあ了見も洗練されていくだろうなあ、とも思ったり。 なので落語家さんとかの徒弟制度ってのは一定の価値があるんでしょうな。

「ビートたけし」の良いところは、それだけでなく「天然さ」もあるところかなと思ってます。 上記の漫画で言えば、たけしさんは恐らくこの「ひまわり」の言及は、あくまで「ギャグ」であり、アーティストを間違えたという「ボケ」のつもりではなかったんだと思うんですよ。

平たく言えば、普通に間違えたんだろうと。

それに対して、宮田さんの突っ込みの早さが素晴らしかった。 しかも倒置散文にしたことによって、この一連の会話の流れが「コントとして落ちる」という結果まで生み出しました。

※ていうか、もしこれが、放送作家が書いた脚本だったとしたら、私はその人の関わった番組を全部見たいです。

たけしさんって、えらい人(或いはすごく頭の良い人)と絡むと、こういう奇跡を呼び寄せる奇跡のような天然さがあるなあ、としみじみ思います。

正直、今の「ビートたけし」はろれつも回っておらず、カツゼツもしんどいです。 お笑い芸人の最前線で戦うには流石にアレなのは事実です。

ただ、昭和から「ビートたけし」を見てきた私としては、いまだTV画面から「面白い会話の薫陶」と「お笑いの奇跡」を振舞ってくれる彼を、いつまでも最後までも好意的に見守っていきたいと思います。
 

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