【レトロゲーム絵日記 029】イース:「魔法」が消失した日。ストーリー・設定・音楽が神がかってた日本RPGの金字塔

おさかな
自分の人生を狂わせたゲームってありますか?

私にとっての「イース」はそういったゲームの1つです。

ゲームのRPGと言えば、シンプルなお話でLV上げてラスボス倒して終わり程度だったあの黎明期に、突如、突然変異として「作品性の高いストーリー」「練りこまれた設定」「ガチで作った劇伴(BGM)」と、いきなり本気内容で登場したのがこの「イース」でした。

私はこのゲームで、ストーリーと世界観設定に心をゆだねる楽しみにやられてしまい、以降、こういった物にどっぷり浸かって楽しめる「ファンタジーRPG」大好き人間になってしまったのでした……!

ゲーム全体を通して、演出の筋が通っていた

「イース」は、古代に栄えた超魔法文明国家

魔法の力を生み出す「黒真珠」を作り、その力を御する金属「クレリア」「イース文字」によって栄華を極めました。 ですがその魔法の力を担保する黒真珠は、その力と引き換えに魔物を生み出して闇を増大させる悪の根源でもあったのです。

最終決戦では、かつてのイースの6人の神官の子孫と2人の女神の力の加護を受けた、冒険者アドル・クリスティンと黒真珠とのバトルとなります。

魔法から生まれた生き物であり、黒真珠そのものでもある「魔物の総領」ダームと、結界魔法を展開した「赤毛の剣士」アドルの一騎打ちは、これまでのどのボス戦よりも燃える演出で、苛烈な戦いになりました。

おさかな
「女神の指輪」を使わず倒せれば中々のゲーマーかと

そしてついにダームを倒した瞬間、ここで本作最高に憎い演出が入ります。

このゲームでは通常、ボス格の敵を倒した瞬間、ゲーム上のご褒美的なシーケンスで HPとMPが猛スピードで全回復するんです。

ですがこのダームを倒した時には、

HPは全回復していきつつ、MPはどんどん減っていってゼロになってしまうんです。

魔法の力を担保している「黒真珠」が無くなってしまったので、世界から「魔法という存在」が無くなってしまったからなんですね。

それを、一番分かり安いプレイヤーのパラメーターではっきりと示した。 それも、そのことについてしゃらくさい説明や言及を一切しないんです。

「そうか、そういうことか……」と思った瞬間、それまでに通り抜けてきた各種イベントの諸々が思い出され、万感の思いがこみ上げてきます。

キースの呪いは解けたかな、とか、善玉の魔物「ルー」達も消えてしまうんだな、とか、フィーナとレアの2人の女神達は何を感じているのかな、とか。

このゲームの中盤から発覚し、ゲーム全体を通して語ろうとしていた「しがらみを含む、過去の遺産との決別」について、はっきりけじめをつけて、このゲームはエンディングへになだれこんでいきます。

私はこのゲームを終えた時、スタッフロール画面の前でぽかんと口をあけて、呆然としたことを今でもよく思い出せますね。

泣けたとか笑えたとかじゃないんです。 何だかわからないけど凄いものを見てしまって頭の解析が追いつかない。

おさかな
「とにかくとんでもない作品を堪能してしまった」当時の私にとってはこれが全てでしたね……

フィーナかレアか

かつて「イース」を治めていた二人の女神「フィーナ」「レア」。 作中では記憶を失い普通の女の子として暮らしていましたが、終盤で全てを取り戻して主人公アドルに助力し、最後は女神としてその責に殉じます。

イラストでは、一応左がフィーナ、右がレアのつもりです。最初期の公式イラストを参考に雰囲気で描いてしまっていますが、フィーナの方が好きですね。

2人とも序盤から終盤まで何度か接する機会があり、特にフィーナと主人公はお互いに思うところもあったような演出になっていましたが、2人の女神は魔物と魔法の根絶を確かにすべく、封印の礎にならなければいけなかったのでした。

エンディング後、サルモンの神殿にて女神像となってたたずむ2人には、ずいぶんしんみりとさせられましたね。

結構、イースファンでも知らない人いるんですが、フィーナとレアは、悪しき物が完全に封印されるように、自らを石像の身にやつして魔法と共に眠りに付くんです。 ここの演出をあまりにさらっとやってるんで、見落としがちなのかもしれません。

フィーナなんてアドルのことが好きに決まってるのに、粛々とその運命を受け入れているわけで……。

おさかな
尊い。女神尊い。

こういう苦味のある良さを持ったエンディングは、ハリウッド的な……いや、もう今の日本でも中々作れないでしょうね。

その一方で、イース人の子孫でアドルに心を寄せる女の子「リリア」もまた良いキャラでした。 アドルの心がフィーナに向いているのを分かっていながら健気にふるまう彼女にはファンが多いそうですよ。

おさかな
ちなみに、イースファンが3人集まると「フィーナ派」か「レア派」かで論争になるんだとか。 なお、その時に間違っても「リリア」という名前を出してはいけません


ゲームとしても抜群に面白かった「イース」

半ずらし

イースは見下ろし2DのアクションRPG。 敵に接触することで攻撃/被ダメージ となります。 どっちの攻撃が通るかは双方の攻撃力や防御力によって判定がなされるんですが、これをうまくキャラを半分ずらして敵に当てることで、100%こちらの攻撃判定になるワザがありました。

この「半ずらし」は、裏技というよりは「テクニック」としてその後の作品にも継承されていきました。 裏技っぽいとはいえ、敵も自分も動いている状況でうまいこと半分ずらして当て続けるというのは、これはこれでゲームとして成り立っていて面白かったからですね。

むしろ「半ずらしが無かったらイースじゃない」と言いたいくらいです。

作り手の声が聞こえるボス敵

ボス戦というものは、それのみで1つのミニゲームになっているパートです。

つまらないゲームのボス戦は、「ただ固くてHPがいっぱいあるボス敵が、理不尽な範囲攻撃をするだけ」になりがちですが、「イース」の……というよりはメーカーである「ファルコム」の作るボス戦の遊びは、しっかり練られていて実に面白いです。

難しいんですが、必ず攻略法があり、それについてのヒントは画面内にちゃんと出ている。 うまくやれた時はその行動に対してきちんとリアクションをして「褒めて」くれる。

作り手の「このボス戦はこういう遊び方をして欲しいんです」という心意気が、やっている内に伝わってくるんですね。 ボスというよりは「作り手」と勝負している気分になってきます。 そして、その「遊び方」がちゃんと面白い。

最初のムカデのボス敵や、ダームの塔の頭が二つあるボス敵とか、私は結構好きですね~。

作り手の心意気、声が聞こえるボス戦が「イース」シリーズの特徴と言えるでしょう。


サウンドもおかしいくらいに良かった

既に別の日記でも書いていますが「イース」はサウンド…音楽も良かったですね。

出た音源出た音源、サントラ系は全部買ってたと思います。 お気に入りは上げたら切りが無いですが、この辺りはいつもヘビーローテです。=D…CDは今も保持してます。 PCエンジン版のディスクも聴けるのでキープです。

どの曲も、そのシチュエーションにがっつりはまっていてよかったですね。 特にボス戦の曲は、敵と自分、お互いにHPが減ってきて余裕が無くなってくる頃合でBGMも盛り上がってくるのが大好きでした。

Ys2のオープニング曲にはカットシーンのスピード感も相まって、呆然としてしまったくらいです。

サントラCDのボーナストラックでは、シンセや生楽器を使った「スーパーアレンジバージョン」が収録されていたのが良かったですね。 そのアレンジをずっとやっていた「米光さんが、PCエンジン版でサウンド担当になってくれたのは嬉しい思い出です。

おさかな
ぶっちゃけ、曲として聴くなら本家ファルコムのJDKバンド推しなんですが、ゲーム中に「ゲームの劇伴」として聴くなら、私は米光さんアレンジに軍配をあげますね。ノリの配分が上手だと思います

展開には不満もあり喜びもあるが、ずっと付いていきたいシリーズ

というわけで、こうも長文になってることから分かるように、このゲームは当時普通の少年だった私の頭をぶっ壊し、完全にゲーム人間に変えてしまった……私にとって特別で、罪なゲームなのでした。

「イース王国」についての「1」「2」のお話の後も、このゲームのシリーズ続編は続いていて全部遊んでいますし、リメイク版も出れば買える範囲で皆プレイしています。

おさかな
「1」「2」については、PC98版、ファミコン版、PCエンジン版、PCリメイク版(エターナル)、セガサターン版をやってますね。
どれもそれぞれ趣があって好きですが……一番のお気に入りはBGMとカットシーンの出来的に「PCエンジン版」です

「有翼人」設定へのモヤモヤ

2000年以降、ファルコムの方ではイースの世界観にメスを入れ、シリーズ続編を「アドルの冒険譚」としてバラで展開していた世界観に「有翼人」という共通設定を投入しはじめました。 古代、世界に超文明をもたらした超人たちという設定です。

初出は「4」ですが、全体を貫く設定として扱われ始めたのは「3」のリメイク「ナピシュテムのからですね。

「1」「2」の古代イース人も、「有翼人」あっての栄華だということで……

 

おさかな
正直、あんまりこの設定すきじゃないんですよね……

だってもうそれナディアのアトランティス人じゃんとか思ってしまうので(大元ネタはシュメール人伝説のはずですが)。

「魔法とは」「魔物とは」「人間の文明とは」について語りきった「1」「2」のシナリオ完成度を損ねてしまうんではないかなあと、思ったりもしてます。

とはいえ……です。

上述の通り、「イース」シリーズの基本は、主人公である赤毛の剣士「アドル・クリスティン」の冒険譚です。 「イース」というシリーズ名は、その象徴的な話の一つを総称として使っているに過ぎません。

その冒険譚を今後作り続けていくために「有翼人」設定が必要だとファルコムさんが言うのなら、ファンとしてはもう納得するしかありません。

そして最終的にはシリーズ全体での調和で完成度を高めてくれると、私は信じています。


そんなわけで……

そんなわけで今も私は、文句を言いつつも「イースの新しいのが出たら買う」を続けているんですね。 そもそも、ゲームとしての面白さはこれまでの実績で折り紙つきですし!

みなさんにも、こういう「自分の頭をぶっ壊してくれた」「一生ついていくしかない」ゲームはありますか? 私はいくつもあります。

これからもそういったゲームの行く末についていきながら、そしてまた他のゲームで、新たにガツンとやられるのを期待しつつ、ゲームを遊び続けていこうと思います。

以上、レトロゲーム絵日記「イース」でした!

オススメサントラ(敢えて定番外してます)

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【アレンジサウンドトラック】パーフェクトコレクション イースI・II~米光亮全曲集

【サントラ】Music From Ys I&II Chronicles (Original mode)

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