【レトロゲーム絵日記 028】悪魔城ドラキュラ:魔物の巣窟で発掘した肉に心から安堵。シュールでホラーな傑作アクションゲーム!

今もシリーズが出続けている「悪魔城ドラキュラ」。ゴシックホラーな演出の、ムチを使ったアクションが手ごたえあって楽しかったアクションゲームです。

アクション、ビジュアル、サウンドと、どれもいい感じにホラーの方向にディレクションされていたのがこのゲーム。ですがその中で、マップ内で取得できるHP回復アイテム「肉」が、いい感じに浮いてて、すごくシュールで好きだったのを良く覚えています。
 

まさに隠し味。 肉の配置の妙が何とも憎かった!

この肉は一部の破壊可能な地形の中に隠されているのですが、これがまたいい場所にあるんですよね。

「やばい、このままでは死んでしまう……!」

という時に、ふと画面を見回すと「いかにも怪しいブロック」とかがあって、それにムチをふるうと、果たしてお肉が出てくるのでした。

こわもてのシモンさんも思わず破顔する嬉しさです。  ほんっっとに、期せずしてこの肉が出たときの「ほっ」とする安堵感は、他に例えようがないですよね。 「肉」っていう場違いなおもしろ存在なのがまた良いのです。

隠し場所は固定。 覚えておけばそこを補給地点としてペース配分が可能となり、結果的に「何度もトライすればクリアできる」ゲームバランスに繋がっているんですよ。

プレイが上達したら、肉を使わない「縛りプレイ」をやっても良いわけです。 制作側が意図していたかはわかりませんが「ノーマル」「ハード」の2モードが搭載されている形になっていたのでした。

おさかな
1粒で2度美味しい。 コナミはえらい!

にしても、そもそも「肉」ってどういうことよ(笑)

ゴシックホラーなテイストのこのゲームにあって、この回復アイテム「肉」のシュールさは特筆物です。

魔物の巣窟野ざらしで置いてある肉を食べろって、結構ムチャですよねえ。 しかも、岩とかの中に埋まってる奴をですよ?

一丁前にお皿の上に乗ってるあたりが余計薄気味悪いですし、そもそも何の肉かもわかりません。 最高です。

おさかな
別に「肉」にこだわらなくたって……とも思いましたが、「ハート」はアイテム使用のエネルギー回復アイテムで使用済みですし、「聖水」も攻撃アイテムとして使用済み。 他にそれっぽい物は、確かに思いつかないんですよね(笑)。
おさかな
あと、もう一つの隠しアイテムとして「モアイ」もありました! ただの得点アイテムですが。


不便なのが面白い、難しいけど楽しかった良作ゲー

大抵のアクションゲームの主人公キャラというものは、便利な基本アクションを持っているものです。 マリオなら「Bダッシュ」、ソニックなら「スピンダッシュ」、ロックマンの「ロックバスター」……

そんな中、いくつかのアクションゲームでは、敢えて「不自由」にすることでゲームメイキングをしているものもあります。

「アストロロボ SASA」って知ってます? 自分で歩いたりジャンプしたりができず、銃を撃った反動のみで移動する、ガチな「反作用&慣性移動ゲー」なんですが、これがもう本気で腹が立つくらいまともに動かせないんです。でも、これが慣れると脳汁が出る面白さなんですよ。

ものすごく不自由なんですが、普段の生活では考えもしないメソッドや動きが上達していくのは、テレビゲームならでは。 その方法でなければ味わえない気持ちよさを味わうことが出来るんです。 これもある意味、貴重な「非日常」ですよね。

おさかな
あのゲームがクソゲー扱いされているのは、比較的動き易い宇宙面にいくまでに、重力があるせいで却ってややこしい地上面がやたら長かったからだと思います……

さて、「悪魔城ドラキュラ」なんですが、動きだけ見ると、この「ムチ」は必ずしも気持ちよいアクションには見えません。

繰り出すのに予備動作が要るし、出している間は動きも制限されます。 攻撃範囲も横方向のみです。 じっさい、空を飛ぶ敵を攻撃するのはすごく面倒です。

でも、その代わりに、ムチのリーチにある物は貫通してまとめてダメージを与えられますし、大抵の敵はこのムチを当てれば一撃死か硬直します。 扱いは不自由ですが、威力はかなり高いんですよね。

また、ムチは中距離攻撃アクションなので、かなりの確率で先手を打つことができますし、敵の遠距離攻撃の殆ど(手投げ斧とか火炎弾とか)はムチで叩き落せます。

つまり、動きとしては不自由に見えますが、これは「近接格闘をせずに中距離を保って戦う楽しさ」を実現するための手段なんですよね。 意味も無く不自由にしているわけではないんです。

おさかな
「アストロロボ SASA」と一緒です!

そして、中距離での立ちまわりを体得してからのこのムチアクションは楽しいの一言。 

この、同じ横限定の攻撃でも「ロックマン」のような「銃 = 画面の端まで一瞬で弾が飛ぶ」ではなく、「ムチ = 近くに一定時間ダメージエリアが出現する」という独特な攻撃アクションは、一見不自由ですが全然便利で楽しいのでした。

上手いムチさばきをしている時のシモンさんは、実にかっこよく見えます。

かといって便利や華やかさも忘れてない

さらに、そんなムチのアクションだけでは、画面に華やかさが足りないだろうと、補助アイテムも多数。

床面を燃やす「聖水」やら、画面内を往復する手裏剣系の「クロス」やら、放物線を描く「手投げ斧」など、ムチと組み合わせての攻略がまた楽しい。 特に攻撃力が高くHPも多い「ボス敵」攻略には補助アイテムが役立ったのでした。

こういった補助アイテムもまた、「肉」同様に絶妙な位置にそれぞれが配置されており、煮詰まった時には直前にある補助アイテムを使ってみるとうまくいったりしましたね。

このゲームは中盤以降わりと難しいんですけど、この補助アイテムのおかげで結構さくさく進めた気がします。 難しいことは間違いないんですが、それでも楽しかったという記憶が勝っています。

配置の妙に感服。傑作ゲーム「悪魔城ドラキュラ」

手ごわかったけど、必ず攻略の糸口は隠されているし、ある程度頑張ればセーフティネットもあった。 作り手が配置に心を砕いた傑作ゲーム。 それが「悪魔城ドラキュラ」だったと思います。

……このシリーズは今も続いていて傑作ぞろいなのですが、ビジュアルが進んで行くと、こういった「配置の妙」は埋もれていく傾向にあります。

地形がリアルになると、使いまわしできる「壊れそうな怪しい地形」の用意が難しくなってくるとか、リッチコンテンツ化も悩ましい部分がありますよね。

2Dのビジュアルなら「肉」も記号としてギリOKですけど、3Dで超リアルでガチで怖いマップで超イケメンの主人公が、道に落ちてる「肉」拾うなんてのは、もうシュールを通り越して普通に「ギャグ」ですからね(笑)。 好きですけど、そういうの。

とはいえ、今のリッチなゲームには、リッチなゲームの作法で「配置の妙」は存在します。 これからもゲームの配置を攻略しつつ、作り手側の心意気を楽しんでいきたく思います。

以上、レトロゲーム絵日記「悪魔城ドラキュラ」でした!


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