「テクモシアター」という、映像演出に特化したシリーズだったこの「忍者龍剣伝」。
ファミコンながらも映像カットシーンを多用するリッチな演出で当時のプレイヤーを魅了した、傑作横スクロールアクションゲームです。
当時としては本当に斬新で、これからゲームの演出って凄いことになっていくんだなと、子供たちに予感させたタイトルでした。
つかみバッチリの導入からラストまで駆け抜ける怒涛のストーリー
オープニング(タイトルループ)は、父と謎の相手との決闘シーンから始まり、父はそれに敗れます。 その父の遺言でアメリカへ渡ったリュウが、やがて世界の危機に繋がる暗黒の邪神との戦いに巻き込まれていく……。 というのがストーリーの大筋。
最初の決闘シーンがまたかっこいいんですけど、もう、そこからすでに熱いんですよね。 そこでグッと心をつかまれてリュウに感情移入してしまい、ラストまで一気に駆け抜けてしまう、見事なストーリー展開に思います。
ストーリーは、アクションステージをクリアするごとに幕間的に入る映像カットシーン(BGMと多重スクロールありの紙芝居)で語られていくのですが、この流れがもの凄くスピーディーでテンポ良く熱いんです。
恐らくROM容量のせいもあったでしょうがそれが効を奏した格好で、無駄のないストーリーを息もつかせず味わわせる本作のバランスは絶妙でした!
映像カットシーンのビジュアルは劇画に寄せた骨太のタッチで、それがシリアスさと熱さをよく醸しだしていましたね。
「忍者装束」にしたことで色数を減らせたのかどうかはわかりませんが、ファミコンとは思えない美麗さを感じたのを良く覚えています。 もちろん、ドット絵の技術も凄かったんだとは思いますけども。 このビジュアルが小窓でシャキシャキと絵が表示される子気味よさは秀逸でした。
本作はゲーム部分も良かったのですが、「テクモシアター」を名乗ってるだけあってやっぱり演出回りがすごくて印象にのこってるんですよね。 敵の本拠地(城)に乗り込む前の多重スクロール画面は、当時の自分には圧巻でしたね。 遠くのものが青っぽくなる色遠近法でうまいこと色数減らしてたのも、今見ると上手いなあとか思ったり。
映像カットシーンだけでなく、敵キャラまわりも良かったです。 父の仇である「ブラッディ・マルス」は、一度しかでてこない奴の割にはキャラが立ってました。
マルスは父を倒したほどのスゴ腕忍者(そのカットシーンでは忍者装束を着ていた)。 きっとリュウとは忍者対決をするのだろうとワクワクしてたのに、変な仮面かぶってソードと盾持って出てきた時にはちょっとだけガッカリしました(笑)。 父と因縁のあるキャラだと思ってたのに、特に何も話してくれなかったのも残念。
かっこよかったんでいいんですけど!
とはいえ上述の通り、ストーリーはとにかくどんどん先へ先へと急テンポで進行するので、こういう細かい不満点を気にかけている暇もなく、気が付いてたらクリアしてました。
で、「とにかくすごかったな」と感得してしまった……。 私にとってこの「忍者龍剣伝」はそんなゲームでした。
でも最後にエンディング見ながら突っ込んだことが1つだけ。
「アイリーン」っていう、CIAの女の子が出てきます。 お話の進行でちょいちょい顔を出し、人質にとられたりと結構頑張ってる子なんですが、エンディング前で唐突にリュウに告られてキスしてスタッフロール…な流れになります。
確かに良く登場した女子キャラだけど、別にリュウが惚れるようなアイリーンの見せ場もエピソードも無かったし、なぜに唐突にヒロインだったってことになってるんだ? アイリーンがリュウを好きになる流れだったらわかるけど(助けられたので)……。
……と、そこまでずっとリュウに感情移入できてたのに、そこでいきなり心が離れてスタッフロールを見ていた微妙な気持ちを今でも思い出せます。
アーケード版のも入っててお得なCDでしたが、ボーナストラックのアレンジバージョン「鮮烈のリュウ」は私の期待と違うアレンジでちょっと残念でした……。 なんであのカッコいい曲を、チャカポコ曲にアレンジしちゃうかなー。
ゲームとしても熱かった!理不尽ではなかった!
本作のアクションゲームとしての特徴は「カベ貼りつき」。 忍者ならではの体術としては納得感のあるアクション。 そしてこれが結構気持ちよかったです。
単なる移動手段ではありますが、これでゲーム画面をみつつ、「あれに貼り付いて、飛び降りてあっちに貼りついて…」と少し考える場面があるのが、ゲームの流れに緩急がついて好きでしたね。
ジャンプの上昇中だけでなく下降中でも貼り付けるので、自分より下の位置にあるカベにも貼り付けたりするのがまた良いんですよ。 終盤はそれが要求される場面もあって、「容赦ねーな」と子供ながら思ったものです。
理不尽ではなかった!…たぶん!
今回、このゲームの絵日記を描こうと思い、記憶の裏取りのためにネットで色々調べたところ、どうも「忍者龍剣伝」は「超高難易度ゲー」ってことになってるらしいですね。
Wikipediaによると、「ゲームセンターCX」で有野さんに「最も難しい」と言わしめたという逸話まであります。 その他感想を見ていくと、どうもこのゲームの難しさは理不尽な印象を持たれている様で悲しいです。
まあ、確かに難しいゲームですけど、理不尽って事はないんじゃないかなあ……。 攻略本も買わずにクリアできましたし、その後 Wii のバーチャルコンソールで出た時にも再度プレイしましたが、ヒイヒイ言いつつも週末プレイでクリアできましたし。
私にとっては、たまに思い出してまた遊んでクリアするぐらいに「手ごたえあるお気に入りゲー」ぐらいの感じ。 ストーリーの熱さに感情移入するために、プレイヤーとしてゲームプレイに熱くなってしまう本作は、普通に面白いのでみんなやって欲しいです。
めげずにやり直していけば必ずクリアできます。 充分な達成感というリターンがある良ゲーだと思いますよ!
……と、ここまで書いて、昔この「忍者龍剣伝」について別のブログでも日記書いていたのを思い出しました。 上記のWii のバーチャルコンソール版を買った時の日記です。
探して見てみると、この時のプレイでも結構苦戦してたのが見て取れました(笑)。 その日記に添付されていた、当時のイラストによりますと……。
1)飛び越えようとすると必ずコウモリに当たって死ぬ奈落がある
2)そこでジャンプ滞空中にきびすを返して戻る動きでコウモリを誘い出し、やり過ごしてからのジャンプを試行。
3)上手くいったと思いきや、今度はその着地点に別の敵が突進してきて、やっぱり奈落に落とされる。
そんなこんなで
勢いのあるカッコいいストーリーとビジュアル、そして骨太なゲームプレイで、全体として「熱い」ゲームだった「忍者龍剣伝」。 難しいけど、クリアした後には「やってよかったな」と思える、喉元通った後には心地よい熱さが忘れられなくなるゲームなのではないかと。
今、まっさらな状態から……キャラから世界観からストーリーやらをゼロから作って一本仕上げるゲームを作るのは結構大変です。 ゲーム業界が絶好調だった当時とはいえ、このタイトルがテクモさんにとって冒険だったことは間違いないでしょう。
その経緯を考えると、作っている側の熱さがゲームに乗り移っていたのかなあ……などと思ってしまいます。
本編は「3」まで出て、その後も「ニンジャ外伝」シリーズで今も続いている人気シリーズ。 Switchで限定回帰の 2D版「4」作ってくれないかなあと、無理な願いに心を熱くしている今日この頃であります。
以上、レトロゲーム絵日記「忍者龍剣伝」でした!
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